2019秋田県林業研究研修センター参観デー
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2019年10月5日(土)、「秋田県林業研究研修センター参観デー」が同センターを会場に開催された。今年の夏は例年になく少雨高温が続いた。さらに9月に入っても少雨高温が続き、キノコの発生が大幅に遅れた。特にマイタケの発生は、例年より10日以上遅れ、9月下旬になってやっとマイタケ最盛期を迎えた。そんな中、今年の展示キノコは、例年同様、多くの種類が展示され、食毒の見分け方などの説明が行われた。その他林学基礎講座(樹木の生存戦略、森の香り、ニホンジカ、キノコ、林業大学校の取組)や林業機械展示・運転席試乗体験、森のクラフト・ミニリースづくり体験、ナメコ菌床づくり体験、試験地・樹木園等自然観察会など多彩な催しが行われた。
- 主催/秋田県林業研究研修センター(018-882-4511)
- 協力/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン
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- 秋田林業大学校(林業トップランナー養成研修)・・・「国の宝は山なり、山の衰えは即ち国の衰えなり(秋田藩家老、渋江正光)」を理念として、実践的で実務重視のカリキュラムや少人数制の研修により、社会や企業が求める「若い林業技術者」を養成している。令和2年度の募集定員は18名。
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- チェンソー・チップソーの刃研ぎワンポイントアドバイス
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- 試験研究研修パネルの展示等
- 「樹木の種子の形」展示
- 樹木の花粉・マツノザイセンチュウの顕微鏡観察コーナー
- 新しい苗木生産技術-コンテナ苗-
- 山菜や樹実を栽培しよう
- 異なる仕様で植栽されたクロマツの地上部および地下部の成長
- スギとの混植及び苗木サイズがブナの生育に及ぼす影響
- 秋田県の海岸域に分布する広葉樹
- 拡がるナラ枯れ
- 抵抗マツの開発に向けた県の取り組み
- スギ人工林の間伐が水流出に及ぼす影響
- スギ人工林における2018/2019積雪期および2019春期の樹冠通過降水量
- 遊休農地を活用したオリジナルきのこ栽培-畑で気軽にきのこ栽培-
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- 秋田県林業研究研修センター佐藤龍司所長あいさつ・・・9月7日、天皇、皇后両陛下は、第39回全国豊かな海づくり大会に出席するため、秋田空港に到着後、県林業研究研修センターに立ち寄った。その際、所長が案内した写真を嬉しそうに見せながら、同センターで県勢に関する説明を受けた後、この会場で昼食をとられたエピソードを紹介。
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- 森のクラフト体験(第一研修室)・・・秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンでは、クリプトンの森などで採取した豊富な素材を使った「森のクラフト・ミニリースづくり体験」を実施。
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- 森のはなし その1 タネの休眠はなぜ必要か・・・例えば、多くの植物は日が短くなり気温が低下することで冬の到来を感じることが知られている。秋に休眠しないで芽を出したら、冬に枯死する危険がある。だから、冬の厳しい環境にさらされる前に休眠に入り、春の訪れとともに発芽する場合などがある。
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- ニセアカシア(ハリエンジュ)のタネ・・・不透水性の硬い果皮に覆われているので、地面に落ちても発芽せず、埋土種子となって地中で何年も休眠する。埋土種子は、地表の攪乱によって不透水性の硬い果皮に傷がつき、吸水すると発芽するという。
- ニセアカシアには、休眠種子と非休眠種子が存在することが報告されている。非休眠種子とは、果皮が傷づけられない場合でも吸水して発芽する種子をいう。そんな非休眠種子は、流水によって長距離分散することで、より分布を拡大させる戦略らしい。
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- 森のはなし その2 森の香り・・・森の香りの正体は、植物が出しているフィトンチッド。なぜ植物はフィトンチッドをつくるのか。その答えは、植物が自分を守るための武器として使うためである。例えば、自分を脅かすほかの植物への成長阻害作用、昆虫や動物に葉や幹を食べられないための摂食障害作用、昆虫や微生物を忌避、誘引するなど多種多様である。
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- 森の香りの展示は、クロモジ葉精油、ヒバ葉精油、スギ葉精油、マツ・スギの葉に多いα-ピネン、柑橘類の皮・モミ・トドマツの葉に多いリモネン、ツツジ科・カバノキ科に多いサルチル酸メチル。その香り成分を実際にかいで、確認してみる。
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- ニホンジカの生態的特徴・・・満1歳から毎年出産可能。子どもを産むことができるメスの生存率が高い。4、5年で個体数が倍になる。大食い、食いしん坊で、植物を食べ尽くす。
- シカが定着、個体数が増えると・・・スギ植栽木への食害、農作物への食害、剥皮害による森林被害、森の生態系破壊などが深刻化する。
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- 効率的な捕獲方法の検討
- 県境の侵入経路は、すぐに移動するので、ワナ設置不適。
- エサ植物の繁茂ヵ所は、候補地が多くて不適。
- 越冬ヵ所は、候補地が限られ、雪による行動も制約されるので、ワナ設置適地。
- 越冬ヵ所の条件
- 雪が少ない沿岸地域は、越冬定着が容易で高密度化
- 冬季でもエサ植物量が多い林分・・・伐採地、林縁=ヤブ
- 地域の中で積雪深の低い林分・・・南斜面、温泉地域
- 近辺に大雪時の一時的避難林分・・・スギ壮齢林
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- キノコのはなし・・・キノコ採りには、様々な危険がつきまとう。クマをはじめ、スズメバチ、毒蛇(マムシ、ヤマカガシ)、ヤマビル、ツタウルシなど。
- 今年、キノコ採りでクマに襲われた事例は既に2件発生
- 10月3日午後4時45分頃、鹿角市花輪の山林でキノコ採りをしていた男性(81)がクマに襲われ、顔にケガを負った。現場は花輪高校の東約3キロ。市は事故を受け、現場近くに注意を呼び掛ける看板を設置。
- 10月5日午前10時50分頃、由利本荘市鳥海町の山林で、男性(60)がキノコを探して歩いていたところ、前方のヤブの中から、体長70cmほどの子グマ2頭が現れ、このうち1頭に引っ掛かれ左太ももにケガを負った。大声を出すと、ヤブの中に去ったという。
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- スズメバチ・クマ対策・・・左から携帯用スプレー「ハチノックS」(スズメバチ駆除殺虫剤)、クマ避け対策・大音量で威嚇する「ベアホーン」、万が一襲われた場合に使う「クマ撃退スプレー」。
- マイタケ採りなど、頻繁に山に入ってキノコを探す人は、上記対策が必須。特にクマ問題が深刻化している秋田県では、クマ対策が最も重要。キノコ採りで山に入る際、例え複数でかつクマ避け鈴を鳴らしていても、最も危険な親子グマに遭遇する確率は高い。だから、クマ避け鈴に加えて、クマ撃退スプレーを腰に下げることをおススメしたい。
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- 食毒の見分け方・・・展示キノコを用いて、食毒の見分け方を優しく解説。
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- 広葉樹おが粉、ふすま、魚粉、ウイスキー粕、かき殻・・・袋から出して、よく混ぜ合わせる。
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- 水を1.26リットル加え、かき混ぜる。握った指の間から水がにじみ出るまで水道水を加える。
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- 栽培袋を丁寧に広げ、調整した培地を900g詰め込む。
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- 中央に直径2cmほどの穴を開け、フィルター部が裏になるように栽培袋を折り、セロハンテープで止める。
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- 減菌と接種(きのこ実験準備室)・・・121℃で60分間、減菌し、冷却後、ナメコの種菌を接種する。栽培袋をシーラーで密閉する。
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- 持ち帰った後の管理
- 直射日光の当たらない玄関など、なるべく薄暗い場所に静置する。管理する部屋の温度範囲=1℃~30℃
- 15℃前後の室内であれば、100日程度で培地表面の色が白色から次第に薄黄茶褐色に変化する。
- 上面にナメコの芽が出てきたら、袋の上部を切り取り、注水する。30分~1時間後、袋内の水を全部捨てる。
- 上部をホッチキスで2ヵ所程度止め、直射日光の当たらない室内に静置する。気温は5℃~16℃くらいが良い。
- ヒダが見える前に収穫する。
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- 菌床シイタケの育て方
- 菌床が壊れない程度にバシバシ叩いた後、優しく袋から取り出す。
- 菌床の表面を水で洗い、皿などの上に置く。
- 管理・・・菌床の表面が乾かないように袋を被せ、1日2~3回霧吹き又は直接水をかける。高温・直射日光・乾燥に弱いので、玄関などに置くと良い。
- 1週間くらいでシイタケの芽が出てくる。シイタケが出てきたら、霧吹きや水かけは止める。収穫は、傘が開き切らないうちに根元からハサミで切り取る。
- 収穫後、水をたっぷり入れたバケツなどに菌床を入れ、浮ばないように重しをして、12時間程度浸水する。その後、3と同じように管理するとシイタケが再び生えてくる。うまく管理すると3回以上収穫できる。
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