樹木シリーズ92 ウメモドキ
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- 風情のある赤い実をたくさんつけるウメモドキ(梅擬、モチノキ科)
山の林や湿地に生えるが、野生のものは少なく、庭木としてよく見掛ける。9月頃、緑を背景に赤く色づき、落葉した後も赤い実を鈴なりにつけ、真っ白な雪を被ると、なかなか風情があって見応えがある。古くから、庭木や盆栽、生け花の花材としてよく利用されている。雌雄異株ゆえ、赤い果実を楽しむには、雌雄両方を植える必要がある。園芸品種として、シロウメモドキ、キミノウメモドキ、赤い実が大きい大納言などがある。
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- 名前の由来・・・葉の形がウメに似ていることが名の由来だが、なぜか余り似ていない。別名オオバウメモドキ。
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- 花・・・葉腋に淡い紫色の小さな花を咲かせる。雌雄異株。
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- 雌花・・・雌株の雌花は花弁4~6個、真ん中に緑色の子房が目立つ。
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- 葉・・・やや細い卵形で、表面に毛がありフサフサしている。縁には鋭い鋸歯がある。
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- 果実・・・直径約5mmの球形で赤く熟し、晩秋から初冬にかけて、落葉した後も枝に残るので良く目立つ。小鳥が好んで、この実を食べる。
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- 熟した果実をつぶすと、内部に白ゴマのような種子が7~8 個入っており、これを播種すれば実生苗を作ることができる。
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- 真っ赤な実を長く楽しめる・・・葉を落とした後も枝に真っ赤な実を鈴なりにつけるため、秋から冬にかけて長く楽しめるのが特徴。このためウメモドキの雌株は観賞用として庭園に好んで植えられた。
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- 庭園のウメモドキ・・・和風庭園では、玄関脇や池の端、灯籠の周辺などによく植えられる。特に灯篭に添える木として用いられる場合には、これを『灯障』(ヒザワリ)の木と呼んでおり、灯篭の火口(ホグチ)に伸びた枝がかかって、光をさえぎるためである。
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- 実を食べる野鳥・・・ヒヨドリ、ツグミ、オナガ、ジョウビタキ、メジロなど。
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- ウメモドキを使った生け花その1・・・赤い実は、ツルウメモドキと同様、生け花によく利用される。2014年、秋田で国民文化祭が開催された際、ウメモドキを使った華道(いけばな)展示の作品。
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- ウメモドキを使った生け花その2・・・京のいけばな展2011(京都市下鴨神社)
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- 園芸用のウメモドキ・・・黄実や白実、大きな実がびっしりと着くものがあり、好んで栽培されている。たくさん実を着けるコツは、花時に雨に当てないことと、雄株も近くに植えておくことである。
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- 裏庭を明るくしたる梅擬 清水恵山
- うめもどき燃えたつごとき深紅の実 北河紀美子
- 梅擬他を寄せつけぬ赤さかな 山中明石
- うめもどき祈るや念珠をかけながら 蕪村
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- 見るうちにしだいに紅き梅擬 山口誓子
- うめもどき触るればこぼる夜の寒さ 岸風三楼
- うめもどきの真赤感謝のようにあり 北原志満子
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
- 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
- 「読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
- 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
- 「秋田農村歳時記」(ぬめひろし外、秋田文化出版社)
- 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)
- 「季語 早引き辞典 植物編」(監修 宗田安正、学研)
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