樹木シリーズ62 アベリア、ツクバネウツギ・・・
INDEX アベリア、ツクバネウツギ、ウゴツクバネウツギ |
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- 花期の長さと丈夫さが人気のアベリア(ハナゾノツクバネウツギ、スイカズラ科)
中国原産のシナツクバネウツギとユニフローラの交配種で、正式名称はハナゾノツクバネウツギ。和名が長過ぎるので、園芸や造園関係では通称アベリアと呼んでいる。日本には大正年間に渡来。花期が長く、次から次へと咲くのが魅力。花の色は、白色だが、ピンク色の品種もある。暑さや寒さ、乾燥、刈り込みにも強いので、庭木や生け垣、公園樹として幅広く植えられている。
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- 見分け方・・・ガク片は2~5個で、同じ枝でも形や数はまちまち。ツクバネウツギ(上の写真)は花の数が少なく、そのガク片は5個で、ほぼ同じ形、同じ大きさ。ウゴツクバネウツギは、主に北日本の日本海側に自生し、花冠はツクバネウツギより大きい。
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- 名前の由来・・・ツクバネウツギに似ていて、花をたくさんつけることから、ハナゾノツクバネウツギ。ツクバネウツギは、赤茶色のガク片が花後も残り、その形が羽根つきのツクバネに似ており、姿がウツギを思わせることによる。
- 別名アベリアは、19世紀に中国で植物を採集したイギリスの医師で博物学者Clarke Abel(クラーク・エイブル)の名前にちなんでいる。
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- 花・・・枝先にやや淡い紅色を帯びた白い花をつける。花冠は筒状鐘形で、先は5裂する。少し芳香がある。
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- 花期が長く、丈夫な点が人気・・・5月に咲き始め、半年も咲き続ける。樹勢が強く、排気ガスにも強い。
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- 株立ち状の樹形になるので公園や庭園の植え込みなどに広く植えられる。
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- 葉・・・対生または3輪生し、細めの水滴形で、鋸歯は小さい。質は厚くて光沢がある。
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- 花期が長く、多くの花を咲かせるので、多くの昆虫が訪れる。(写真:キアゲハ)
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- アベリアとクモの巣・・・花期が長く、多くの昆虫がやってくることから、花にクモの巣をたくさん張り巡らして昆虫を捕食するクモもよくみかける。
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ツクバネウツギ |
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- 暖かい地方に自生するツクバネウツギ(衝羽根空木、スイカズラ科)
東北地方の太平洋側、関東・中部地方以西、四国、九州の日当たりの良い山地に生える。赤褐色の細い新枝の先に淡い黄色の筒状鐘形の花が2個開く。
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- 名前の由来・・・和名の由来は、赤茶色のガク片が花後も残り、その形が羽根つきのツクバネに似ており、姿がウツギを思わせることによる。しかし和名が長過ぎるので、別名アベリアの方がよく使われている。英語では「Glossy
abelia」(光沢のあるアベリア)と呼ばれている。
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- 花・・・本年枝の先に淡い黄色の花を2個開く。花冠は長さ2~2.7cm筒状鐘形で5浅裂し、下唇の内側に橙色の網状紋がある。。雄しべは4個、雌しべは1個。
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- 葉・・・対生し、長さ2~5cmの広卵形または長楕円形で、縁に粗い鋸歯がある。
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ウゴツクバネウツギ |
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- 秋田に自生するウゴツクバネウツギ(羽後衝羽根空木、スイカズラ科)
ツクバネウツギの変種で、北日本の日本海側に分布する。ツクバネウツギとの区別点は、全体的にやや大型で、葉だけでなく枝や葉柄にもまっすぐに立った毛があること。新潟県はツクバネウツギとウゴツクバウツギの分布境界にあり両種が自生しているという。
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- 名前の由来・・・ツクバネウツギに似ていて、羽後地方(秋田、山形)に生えることによる。
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- 花・・・枝先に黄白色でラッパ型の花を1~2個つける。下唇の内側に橙色の網状紋がある。
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- 葉とプロペラ型のガク片・・・卵形~楕円状卵形で対生。花が終わった後、5枚のガク片が果実の先に残り、プロペラの役目を果たして風によって種子を散布する。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
- 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
- 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
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