樹木シリーズ219 マンリョウ
|
 |
- 正月を飾る縁起物・マンリョウ(万両、サクラソウ科)
千葉県以西の暖かい照葉樹林や雑木林の下に生える常緑低木。真っ赤な実は美しく、正月を飾る縁起物として万両の価値があるとしてめでたい名がついた。本種の赤い実は葉の下に下向きにつくが、センリョウの赤い実は葉の上にまとまって上向きにつくので、簡単に見分けられる。観賞用に広く栽培され、日本庭園などにも植えられる。
|
 |
- 名前の由来・・・赤く美しい実は、センリョウ科のセンリョウ(千両)より、赤く大きいことから、さらに価値があるとの意味でマンリョウ(万両)と名付けられた。
|
 |
 |
|
 |
- 葉・・・細長い長楕円形で、鋸歯は波形で尖らず丸いのが特徴。質は厚い。
|
 |
- 鋸歯のへこみ部分にある小さな隆起は、共生細菌のすむドームハウス。この中のバクテリアが空中の窒素をアンモニアに変え、糖分と交換に与えてくれる。この共生細菌は、花から種子へと感染する形で受け継がれる。
|
 |
- 花・・・白い花は、枝の下に隠れて咲く。花冠は5深裂する。
|
 |
- 果実・・・細い幹は直立して最上部に枝を放射状に広げ、その下側に赤い実を吊り下げる。晩秋に実が赤く熟し始め、冬を越して春になってもまだ実が残っている。
|
 |
 |
 |
- 一つの枝に、一年目は葉、二年目は花や実をつけ、三年目に落下する。効率が悪い古い枝葉は、二年半のサイクルで総入れ替えするという。幹には、落ちた枝の跡が丸く残る。
|
 |
 |
- 正月の縁起物・・・真っ赤な実は美しく、万両の価値がある縁起物として正月の飾りに使われる。商売繁盛を願った語呂合わせ「千両、万両有り通し」にちなんで、正月用の鉢物に、センリョウ、マンリョウ、アリドオシの三種を飾ることがある。
|
 |
 |
|
 |
|
参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
- 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
- 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)
|