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樹木シリーズ217 ハゼノキ

  • 果皮からロウがとれるハゼノキ(黄櫨、ウルシ科)
     真っ赤に紅葉するヤマウルシ、ツタウルシ、ヌルデなどのウルシ科の仲間で、関東以西の暖地に自生する。特に海岸近くの山地に多いという。昔はロウソクの原料をとるために各地で栽培された。ただしハゼノキは寒さに弱いため、秋田など寒い地方では代わりにウルシの実を用いた。暖かい地方では、紅葉を愛でて庭や公園によく植えられる。 
  • 花期・・・5~6月、高さ約10m 
  • ・・・小葉は4~6対。長さ5~10cmの披針形で先端が長くとがる。裏面は緑白色。肉厚でやや堅く、光沢がある。両面とも毛はない。 
  • 紅葉・・・秋に真っ赤に紅葉して美しい。 
  • ・・・長さ約10cmの円錐花序をだし、黄緑色の小さな花を多数開く。雌雄異株。 
  • 果実・・・実は雌株につき、直径約1cmのちょっと平たい扁球形で、秋に灰褐色に熟す。 
  • 木蝋(もくろう)をとるために栽培・・・天正年間(1573~93)に、この実からロウソクの原料となる木蝋をとる技術が中国から伝来して以来、九州を中心に植えられ、ロウ作りが盛んになった。西国の諸藩では、植栽を奨励したことから、現在、西日本に多く野生しているという。
  • 和ロウソク・・・厚い果皮をほぐして、蒸して搾って得たロウ成分を水に落として固め、太陽の紫外線にさらすと白い木ロウになる。これを何度も和紙を浸して和ロウソクがつくられる。 
  • 木蝋の需要・・・ローソクの生産は減ったが、整髪料やクリーム、石鹸、乳液、クレヨン、靴墨、スキー用ワックスなど、木蝋の需要はかなりあるという。
  • かぶれる人もいるので注意・・・ウルシほどではないが、枝葉にウルシオールが少し含まれているので、なるべく触らないのが無難だと言われている。
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)