樹木シリーズ193 ハナカイドウ
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- 美女を形容する花・ハナカイドウ(花海棠、バラ科)
中国原産で、江戸時代に渡来し、観賞用に植えられる。長い柄の先に垂れ下がるように、淡い紅色の花が咲き美しい。中国では「睡花(眠れる花)」の異名をもち、この花を美酒に酔った楊貴妃にたとえて美女を形容する言葉ともなっている。秋に熟す果実はリンゴに似ているが、雌花が退化している花が多く、結実は稀だという。
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- 名前の由来・・・漢字で「花海棠」と書く。「海棠(かいどう)」とは、中国名を日本語読みしたもので、この植物より先に日本へ入ってきていた「実海棠」に対して、特に花が美しいことから「花海棠」と付けられたといわれている。
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- 中国名「垂絲海棠(すいしかいどう)」・・・花柄が長く、花が下方向に垂れることから、中国名で「垂絲海棠(すいしかいどう)」と呼ばれている。
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- 葉・・・狭卵形で質感は堅く、先は尖る。葉柄は1~2cmと長めで鋸歯は小さい。
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- 花・・・枝先に紅色の花が4~6個散形状に垂れ下がって咲く。本来は一重咲きだが、栽培品では半八重、八重咲が多い。
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- 雄しべは多数。花柱は0~4個だが、花柱のないものが多い。ガク筒は鐘形。ガク片は5個で、内側に白い軟毛がが密生する。花柄は細長く、長さ3~6cmあり、暗紅色でむなめらか。
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- 果実・・・リンゴに似た球形で先端にガクの落ちた跡が残り、1~4個が散形状につく。果柄は細長く、黄色または暗紅褐色に熟す。
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- 中国の故事・・・「海棠の眠りいまだ醒めず」は、美酒に酔った楊貴妃をたとえたもので、美人が酔夢のあと、まだ眠り足りないようななまめかしいようすをいう。以来、美女を形容する言葉ともなった。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
- 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
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