樹木シリーズ170 ヤチダモ
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- 稲を架けて干す稲架木(はさぎ)・ヤチダモ(モクセイ科)
山地の谷川沿いや湿地などに生える落葉高木。雌雄異株で、花びらとガクのない花が咲く。幹はあまり枝分かれせず、真っすぐに高く伸びるのが特徴。農村では、水田の脇に植えられ、稲を干す稲架木(はさぎ)として利用される。北海道では、この木の材をタモと呼び、広く利用されるとともに植林もされている。北海道及び本州では岐阜県以北に分布。
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- 見分け方・・・アオダモの花は白いが、ヤチダモの花には花びらがない。アオダモの小葉は3~7枚と少ないが、ヤチダモの小葉は7~11枚と多い。
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- 名前の由来・・・材の強度が高く、曲まげても折おれないので「たわむ木」→タムキ→タモキ→タモと呼ばれるようになった。湿地に生はえるタモだからヤチダモ。
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- 葉・・・長楕円形の小葉が7~11枚の奇数羽状複葉。小葉は無柄で、葉先が急に尖る。縁には細かい鋸歯がある。葉の付け根の裏側に茶色の毛がある。
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- ヤチダモの芽吹きは遅い・・・芽吹きは遅いが、それだけ遅霜の害を避けるには有利。
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- 樹皮・・・灰白色~灰褐色で、浅く縦に裂ける。枝は太い。
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- 真っ直ぐな樹幹・・・日本産の広葉樹の中では、最も真っすぐで、枝下の長い樹幹をもつ。
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- 花・・・円錐花序を出し、花冠のない小さな花を多数つける。雌雄異株。
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- コタンの伝説・・・森の守り神であるフクロウは、背の高いヤチダモの木の上で、人間界に悪魔が近づくのを見張ったという伝説がある。(写真:シマフクロウ/撮影者・土谷諄一)
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- 材の利用・・・材は堅く、加工しやすいので、タモと呼ばれて広く利用されている。また寒さに強く耐水性もあることから、水田の脇に植えられ、収穫した稲を干す「稲架木(はさぎ)」として利用される。
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- アイヌは、ヤチダモで丸木舟をつくった。言い伝えでは、ヤチダモの木で作った丸木舟は豊漁に恵まれるという。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
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