樹木シリーズ165 イヌエンジュ
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- 名前と違って役に立つイヌエンジュ(別名オオエンジュ、マメ科)
中部地方以北に生え、高さは15mほどの落葉高木。別名オオエンジュと呼ばれている。葉は、奇数羽状複葉で、小葉は卵形で先はやや尖る。夏、黄白色の花が房状にびっしり咲くので、遠くからでも良く目立つ。ハリエンジュの花は下に垂れるのに対し、イヌエンジュとエンジュは上向きに咲くので、多くの昆虫たちが集まってくる。そのお陰でマメ科らしい黄緑色の豆果をたくさんつける。樹皮には臭気があり、菱形状の模様をつくる。材は建築材、樹皮は染料や薬用(花も葉も薬用)に利用される。
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- 名前の由来・・・「イヌ」のついた植物名は、一般的に役に立たないことを意味しているが、本種は良材で役に立つ樹木である。中国産のエンジュと比較して品がないことから、「イヌ」をつけたと言われている。
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- 葉・・・奇数羽状複葉で、小葉は3~5対あり、卵形で先が尖る。葉軸と小葉の裏面には細毛が密生し、特に若葉に多い。
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- 花・・・上向きに蝶のような形をした黄白色の花が、房状にびっしりと咲き、良く目立つ。これなら虫媒花としてのアピール度も高く、多くの昆虫たちが集まってくる。雄しべは10個で下部は合着する
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- 虫媒花・・・シータテハやクロマルハナバチ、クマバチなど。
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- 豆果・・・黄緑色の豆果は平たいさや状で、熟すと黄緑色になり垂れ下がる。褐色の種子は3~6個。
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- 樹皮・・・黒っぽく、臭気がある。表皮に入った十文字の裂け目が徐々にひし形状にめくれて特有の模様を作る。
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- 材の利用・・・材はわりと硬く、粘りがあって割れにくく、良い艶も出るので良材。心材や辺材の色味を生かした高級な床柱や指物、道具の柄、木彫、木工芸品などに用いられる。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
- 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
- 「森の花を楽しむ101のヒント」(日本森林技術協会編、東京書籍)
- 「樹木と木材の図鑑 日本の有用種101」(創元社)
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