樹木シリーズ163 サルナシ(コクワ)
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- 和製キウイフルーツ・サルナシ(猿梨、マタタビ科)
マタタビと同じ仲間のツル植物で、葉柄に赤みがあるので分かりやすい。マタタビより厚く光沢のある葉は、花の頃でも白く変色しない。新しい枝の葉の脇に白い5弁花を咲かせる。秋に黄緑色に熟す果実は、和製のキウイフルーツで、輪切りにすると小型キウイフルーツにそっくり。生食が美味しい。県内では、コクワ、ニギョ、シラクチなどと呼ばれ、どこでも見られるが、実のなる木は少ない。北海道から九州まで広く分布。
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- 名前の由来・・・果実が梨に似ており、猿が好んで食べることから、「猿梨」と書く。
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- 葉・・・互生し、楕円形で先は尖り、縁にはトゲ状の鋸歯がある。表面は緑色で光沢があり、裏面は淡い緑色。葉柄が赤味を帯びる。
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- 花・・・白い5弁の花が咲く。雄花の先が黒くかわいい。雄花、雌花、両性花がある。雌雄異株または雌雄雑居性。
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- 果実・・・長球形で、長さ3cm。黄緑色に熟す。霜が下りる頃が食べ頃。その芳香が多くの人に好まれ、和製キウイフルーツと呼ばれている。
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- 和製キウイフルーツ・・・実を輪切りにすると小型のキウイフルーツにそっくり。
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- 果実の利用・・・生食のほか、ジューサーにかけて生ジュース、ジャムに。色は良いとは言えないが、味は良い。サルナシ酒は、皮をむいたレモンと一緒に焼酎またはホワイトリカーに3ヶ月間漬け込む。他に比類のない美味しい酒になるという。
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- 薬効・・・マタタビの仲間なので、強精、強壮、疲労回復、補血、鎮静に効果があるとされている。
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- 種子散布・・・サルナシは、サルやテンだけでなくクマの好物でもある。クマなどの野生動物たちが好んで食べ、移動した後、未消化の種を糞と一緒に散布する。
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- 山のラクダ・・・山奥で喉が渇いた時、このツルを切ると、ヘチマのように水が出るので山のラクダとも呼ばれている。昔は、この水で飯を炊いたりしたという。この水は腎臓病にもよく効くと言い伝えられている。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
- 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
- 「秋田の山野草Ⅱ」(秋田花の会)
- 「秋田農村歳時記」(ぬめひろしほか、秋田文化出版)
- 「山菜ガイド」(今井國勝ほか、永岡書店)
- 「山野草カラー百科」(主婦と友社)
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