樹木シリーズ141 ヤマウコギ
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- 救荒食として利用されたヤマウコギ(山五加、ウコギ科)
山野に普通に生える落葉低木。小葉5枚の掌状複葉で、枝にトゲがあるのが特徴。若葉は、昔から山菜として食べていた。かつては救荒食用として庭木や垣根として植えられ、ウゴギ飯にして食べていた。本州、四国、九州に分布。仲間に雑木林や川岸などに生えるウコギ、トゲのないヒメウコギなど種類が多いが、若葉はいずれも食用になる。
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- 名前の由来・・・山に生えるウコギであることから。中国では、古くからヒメウコギのことを、唐音で「五加(ウコ)」と呼び、それに木である意味を加えて「五加木(ウコギ)」と呼ぶようになった。
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- 葉・・・小葉は5枚の掌状複葉で、中央の小葉が一番大きい。長い葉柄がある。縁には浅い鋸歯がある。
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- 枝にトゲ・・・枝には扁平なトゲがある。別名オニウコギともいう。
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- 花・・・球形の散形花序に黄緑色で5弁の花を多数つける。その花姿は、まるで線香花火のよう。雌雄異株。
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- 雄花、雌花・・・雄花には5個の雄しべ、雌花には2個の花柱がある。
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- 果実・・・やや扁平な球形で、7~8月に赤褐色から黒紫色に熟す。種子は、長さ5mmほどの半球形。
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- 線香花火に似た果実をたくさんつける・・・緑色の果実は、花と同様、線香花火の火花が四方八方に勢いよくはじける姿に似ている。黒紫色に熟すと、パラパラと落ちてしまうので、実の付き方がよく分かるのは若い果実の頃が一番。
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- 山菜・・・新芽が伸び始めるころ、葉柄の元につくハカマごと摘む。葉が古いと苦みが強く使えない。ハカマを取り除き、柄がやわらかくなるくらい茹で、2~3回水を替えてさらし、えぐみを抜く。天ぷらが最も合うが、アクを抜いてから和え物、新芽を細かく刻んで塩味をつけ炊きたてのご飯に混ぜるウコギ飯などに利用する。
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- 救荒食・・・米内沢藩の名君として有名な上杉鷹山は、救荒食として城下にある家々の垣根にウコギを植えることを奨励した。鋭いトゲを持つウコギは、防犯を兼ねた生け垣としても有用であった。そのウコギの生け垣は、総延長20キロにも及んだという。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「見つけたその場ですぐわかる 山菜ガイド」(今井國勝ほか、永岡書店)
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