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昆虫シリーズ70 節足動物・クモの仲間

  • 昆虫ではないクモの仲間
     昆虫の脚は6本だが、クモの足は8本だから昆虫の仲間ではなく、節足動物。世界で115科45,000種、国内では60科1,600種ほどが知られている。クモは、大きな丸いお腹に、糸の原料の粘液がたっぷり入っている。それが細い管から出されて、外の空気に触れると、細くて強い糸になる。クモの武器は、粘る糸と毒の牙である。毒をもつとは言うものの、虫には効いても、人間には害はない。だからむやみに怖がることはない。クモは脱皮を通じて成長し、最終脱皮の後、性成熟することで交尾器が完成する。脱皮の回数は、種類や♂♀によって異なる。また獲物を捕らえる罠と住居を兼ねた網を張るタイプと、網を張らないタイプに分けられる。(ギンナガゴミグモ写真出典:ウィキメディア・コモンズ
  • INDEX クモの巣と「かすみ網」、クモに共通する特徴、♀が♂を食べる共食い、クモの巣の張り方、無駄のないリサイクル、糸の振動から情報を得る、鋼鉄の5倍も強いクモの糸、ギンナガゴミグモ、ナガコガネグモ、コガネグモ、ジョロウグモ、オオジョロウグモ、オニグモ、ギンメッキゴミグモ、クサグモ、コクサグモ、ジグモ、ハナグモ、コハナグモ、ササグモ、ハエトリグモの仲間、アオオビハエトリ、マミジロハエトリ、ムツボシオニグモ、トリノフンダマシ、オオヒメグモ、ワカバグモ、ヤミイロカニグモ、ワキグロサツマノミダマシ、イオウイロハシリグモ、スジアカハシリグモ、アリの真似をするアリグモ
  • クモの巣と「かすみ網」・・・クモは、虫がよく飛んでくる場所に網のような巣を張っておいて、虫が引っ掛かるのをじっと待つ。それを真似たのが、昔、小鳥を捕まえるために使った「かすみ網」。細い糸で作った目に見えない網を、渡り鳥が通る所に張っておいて、たくさん捕まえた。今では禁止されている。 
  • 網を張るクモ・・・ジョロウグモ、コガネグモ、オニグモなど、網を張ってエサを捕る種類がほとんどだと思っていたが、その割合は全体の半分ほどと意外に少ない。 
  • 網を張らないクモ・・・網を張っていたクモの一部が、それを捨てる方向に進化したハエトリグモ、コモリグモ、カニグモなど。お尻から糸は出る。木の葉の上から落ちたりする時、ツーッと命綱のように使ってぶら下がりながら降りる。 
  • クモに共通する特徴
    1. 糸を使うことに最も長けていること。クモは何種類もの糸を網を作ったり、捕まえたエサを巻き上げたり、卵を包んだり、命綱にするなど、目的に合わせて使い分けする。
    2. 昆虫を中心とした肉食であること。共食いもする。♀が求愛してきた♂を、交尾前後に食べてしまうことも有名。 
  • ♀が♂を食べる共食い・・・♀はたくさん食べて卵を多く作ることが必要だから、食べられるものなら何でも食べる。自分と同じ種類でも容赦しない。♀から見れば、言い寄ってきた♂は、食べ物として大変魅力的に見えるらしい。実際、♂を食った♀の産む子は生存率が高くなることが分かっているという。種によって90%近く食べられるものから、ほとんど食べられないものまで様々。 
  • クモの巣の張り方
    1. 最初の1本は、風を利用する。お尻の先から糸を出し、風になびかせる。すると、糸の端が離れた木の枝などにくっつく。それを辿って丈夫な橋糸をかける。
    2. その橋糸を真ん中あたりから、体重を利用して糸を出しながら降りていく。こうしてY字型に糸を張る。
    3. 次に枠糸と縦糸を張る。そして中心から足場糸を渦巻き状に張る。
    4. 粘らない足場糸や縦糸を伝わって、外側から中心に向かって横糸を張る。横糸を張りながら、必要がなくなった足場糸ははがしてしまう。よく粘る横糸が獲物を捕らえるのに役立つ。
    5. クモは毎日、網を張り直す・・・一日の終わりになると、糸はボロボロになって性能が落ちるので、横糸全部と縦糸の大部分を回収し、次の日の始めに一から張り直す。これを毎日繰り返す。
  • 参考動画:クモの巣作りの一周(オニグモ)糸の張り方が凄すぎる! - YouTube
  • クモは自分の張った巣にどうして絡まないのか?
     円い網の中では、横糸だけがネバネバしている。液状の粘着物質が球になった粘球が横糸の上に並んでいる。網を張る時は、最初にネバつかない外枠と縦糸を作って、その上を歩きながら最後に横糸を張るので、完成までクモは糸に絡むことがない。またエサを捕るため網の上を移動する時は、縦糸を伝わって歩く。しかし、縦糸の上を歩いていても、時々脚が横糸に触れてしまうことがある。その際、役に立つのが脚の先に生えている毛である。ネバネバした糸に脚が触れても、くっつく面積が毛の表面だけで小さく、はがしやすいので絡まることなく歩くことができる。
  • なぜ円網の下半分が大きいのか?・・・重力を考えると、下にエサがかかった方が素早く移動できるので都合が良い。だから下半分を大きくつくり、下を向いてエサを待つ。エサがたくさん捕れると、翌日はより大きな網を張ってさらに捕獲数を増やそうとする。まさに待ち伏せ型狩りの名人。 
  • 無駄のないリサイクル・・・糸を毎日張り替えるのは、もったいないと思う。ところが、糸はたん白質でできているので、古い糸を食べ、巣を張り替える時は、お腹の中でもう一度新しい糸の材料にする。つまり、無駄にしないようリサイクルする。自然界では、無駄なことをしない者が勝ち残るようにできている。無駄がやたら多い人間こそ、昆虫に学ぶべきだと思う。 
  • 糸の振動から情報を得る・・・クモは、網にかかった獲物がもがく糸の振動で、獲物がかかったことを知る。落ち葉などが網にかかっても獲物とは思わない。あくまで網を振動させ続けるものに反応する。 
  • クモの巣に虫が引っ掛かると・・・逃げようとしても、もがけばもがくほどくっついて、体にまとわりつく。そして、大きなクモがスルスルと現れ、お尻から糸を出すと、獲物の体をグルグル巻きにしてしまう。身動きできなくすると、その体の一点をちょっとかむ。こうして消化液を注入して、獲物の身体を溶かすと、ゆっくり吸う。これを体外消化という。 
  • クモより数倍大きいカマキリが掛ると・・・ファーブルの観察によれば、クモは、少し離れた所からカマキリにお尻を向けると、後脚を使って、白いシーツのようなものを引き出し、投げ掛けた。これはたくさんの糸をまとめて作った布のようなもの。さすがのカマキリも、このべったりくっつくシーツに包まれると、身動きができなくなる。クモの勝ちである。 
  • 鋼鉄の5倍も強いクモの糸・・・クモの糸は、カイコの作る糸の成分の一つであるフィブロインというタンパク質から出来ている。カイコの糸に比べて、切れ難く、弾力性があり、熱や紫外線にも強い。同じ太さの鋼鉄の約5倍もの強さがあるが、重さは1/5ほどしかない。例えば、直径1mmの糸で、約100kgの重さでも切れない。直径1cmの糸で網をつくれば、ジェット機でも支えられると言われるほどの強さには心底驚かされる。 
  • ギンナガゴミグモ(コガネグモ科)
     銀白色で黒紋が並ぶが、ギンメッキゴミグモより腹部が細長い。巣は、樹間に垂直円網を張り、その中央付近に渦巻き状の白い帯をつくる。この帯は「隠れ帯」と呼ばれている。クモの仲間では、例外的に上を向いて網に止まる。南方系の種で、東北での記録は少ない。東北や北海道には、近縁種のクマダギンメッキゴミグモが分布する。春、山地に多く見られる。(写真出典:ウィキメディア・コモンズ
  • ♀5~10mm、♂3~5mm
  • おびき寄せの術「隠れ帯」
     隠れ帯は、太陽光を受けて紫外線をよく反射する。このため、紫外線に誘引される性質がある一部の昆虫が網に引き寄せられると考えられている。実際、隠れ帯がつけた網と、そうでない網の捕獲数を比べると、隠れ帯がついた網の方がより多くの昆虫を捕獲したことが分かっているという。つまり隠れ帯は、獲物をおびき寄せ、網にかかる獲物の量を増やす効果があるということ。ただし、クモを専門に食べるハチやクモなどの捕食者までおびき寄せるデメリットもある。 (写真出典:ウィキメディア・コモンズ
  • ナガコガネグモ(コガネグモ科)
     田んぼ周辺や林の縁などの開けた場所で見られる。♀は、腹部にある黄色と黒の縞模様がよく目立つ。コガネグモより腹部が長い。♂は♀より遥かに小さく、色も地味である。幼体は白っぽい。夏から秋に現れる。全国に分布。 
  • ♀20~25mm、♂6~12mm 
  • 参考動画:【閲覧注意】ナガコガネグモの美しい「卵の袋」には約1000個の卵が入っている!巣作りからふ化した子どもが飛び去っていく瞬間までを撮影【どうぶつ奇想天外/WAKUWAKU】 - YouTube
  • ・・・草の間や低木などの低い場所に地面と垂直に美しい円形の網を張る。網には、ジグザグ模様の1本の太い帯・隠れ帯がつくられ、その真ん中で頭を下にして獲物を待ち構えている。 
  • 幼体がつくる隠れ帯・・・楕円形に白いジグザグ模様の隠れ帯をつくる。 
  • バッタなどの大形昆虫を捕らえる。 
  • 参考動画:早業 ナガコガネグモが、キンケハラナガツチバチを捕獲 - YouTube
  • コガネグモ(コガネグモ科)
    * 郊外の人家周辺、田んぼ周辺、樹林地周辺、河原、草原など開けた場所で見られる。♀の腹部は、黄と黒の縞模様が特徴。♂は体が小さく、体色も地味。夏に現れる。本州以南に分布。
  • ♀20~30mm、♂5~7mm。
  • 参考動画:30秒の心象風景16755・巣の中央に~コガネグモ~ - YouTube
  • ・・・背の高い草の間に垂直円網をつける。X字型やその一部を省略した隠れ帯をつくる。
  • 参考動画:コガネグモの巣作り - YouTube
  • 獲物に糸をかけるコガネグモ・・・第4脚を使って大量の糸を引き出し、獲物をグルグル巻きにして捕食する。
  • ジョロウグモ(ジョロウグモ科)
     都市部から山地と様々な環境で見られる。♀の腹部背面には、特徴的な黄色と水色の縞模様、腹面には目立つ赤い模様がある。♂は小さい。♂の成体は網を張らず、♀の網に同居する。秋に見られる。北海道南部以南から九州、南西諸島に分布。
  • ♀20~30mm
  • ♂6~10mm
  • ♀と♂のペア
  • 参考動画:ジョロウグモ ♂♀ - YouTube
  • ・・・縦糸・横糸の本数が多く、目が非常に細かい。縦糸は途中で分岐する。円網の前後にバリアー網がある三層構造の巨大な網を張る。
  • 参考動画:糸を紡ぐジョロウグモ(巣を張る蜘蛛) - YouTube
  • 食性・・・大型のチョウやガ、セミ、スズメバチ、トンボ、果ては同種の♂も捕食する。
  • 日本最大のオオジョロウグモ(ジョロウグモ科)
     体長が50mmもある日本最大の造網性クモ。九州・大隈半島以南、南西諸島に分布。♂は♀に比べて小さい。黒色型もある。分布が北上傾向にあると言われている。
  • ♀35~50mm、♂7~10mm
  • 参考動画:オオジョロウグモの交尾 - YouTube
  • ・・・長径1.5mに及ぶ非常に大きな円網を張る。鳥やコウモリも捕らえることがある。幼体の網は二重構造で、網の前方にバリアー網を設ける。
  • オニグモ(コガネグモ科)
     都市部から山地まで幅広い環境で見られる。人家や神社などの建物の周りに多い。黒褐色から茶褐色、緑色味があるものまで体色に変異がある。腹部後方に波状の模様がある。夏から秋に見られる。全国に分布。
  • ♀20~30mm、♂15~20mm
  • 参考動画:オニグモの捕食 - YouTube
  • 巣・・・頑丈な縦糸と粘性を持つ横糸からなる典型的な垂直円網。主に夜に張るが、昼に網が残っていることもある。サイズは非常に小さい。
  • ギンメッキゴミグモ(コガネグモ科)
     腹部が銀色だが、黒色変異もいる。上を向いて網に止まる。体色には、獲物の誘引機能があり、黒色型の方がより多くの獲物を捕らえる。山地から平地にかけて生息し、林縁や林内の薄暗い環境で木の間に円網を張る。春と夏の2回発生。本州以南に分布。
  • ♀4~7mm、♂3~4mm
  • ・・・垂直円網。円網は、通常、クモがいる位置より下の面積が広いが、上を向いて網に止まる本種は、上の面積が広くなっている。
  • クサグモ(タナグモ科)
     草木や生垣の間などに大きな棚網を張る、最も身近な種の一つ。全体が褐色。幼体は、頭胸部が赤く、腹部が黒い。夏から秋に見られる。全国に分布。
  • ♀14~17mm、♂12~14mm
  • 参考動画:リンゴカミキリを捉えたクサグモ Agelena limbata - YouTube
  • ・・・公園や道路沿いの植え込みや人家の庭木などが、薄いシートのようなクモの巣に一面覆われていることがある。その巣は、クサグモが編んだ巣である。巣の表面は、細い糸が張り巡らされ、その隅には糸でつくられたトンネルがある。トンネルの先は巣の外に通じていて、敵に襲われた時の逃げ道にもなる。網のシートには粘り気がなく、網に虫が入り込んだり、糸に引っ掛かったりする。クサグモは、昼間はトンネルに潜み、夕方になるとシートの上を歩き回って、獲物を捕まえて食べる。
  • コクサグモ(タナグモ科)
     体色は、淡い褐色。林縁や森林内の低木の枝先に、クサグモ同様の棚網を張るが、本種は小さく、体色が淡いので識別は容易。幼体は、全身が赤く、別種のように見える。夏から秋に見られる。北海道から九州まで分布。
  • ♀6~12mm、♂6~12mm
  • ジグモ(ジグモ科)
     樹木や草の根元、神社や公園の塀、石垣の下部で見られる。全身黒褐色。大きな上顎と牙が特徴。♀は一年中見られ、♂は夏のみ見られる。北海道から九州まで分布。♀12~20mm、♂10~15mm。
  • ・・・地中から地上部に延びた袋状の巣をつくる。地面を歩く獲物が袋に触れると、大きな上顎で袋ごと獲物に噛みつき、そのまま中に引き込む。
  • 参考動画:おもしろ科学実験 観察 ジグモを捕まえてみよう - YouTube
  • ハナグモ(カニグモ科)
     植物の葉や花の陰に潜んで、花の蜜にやってきた獲物を捕らえる。♀の頭胸部は薄い緑色。腹部は黄色みを帯び、茶色い模様が入るが、変異が著しく、無紋のものもいる。♂は脚が長く、腹部は濃い緑色で黒い斑紋が入る。春から秋に見られる。全国に分布。
  • 参考動画:ミツバチ ハナグモに捕まる - YouTube
  • 人面模様 
  • 参考動画:愛嬌のある模様 ハナグモ Misumenops tricuspidatus カニグモ科 蜘蛛 spider - YouTube
  • ♀5~7mm、♂3~5mm
  • 花で待ち伏せ・・・その名のとおり、花の吸蜜に来る昆虫を狙って、花や葉の上でで待ち伏せすることが多い。
  • コハナグモ(カニグモ科)
     頭胸部は濃い緑色で、腹部は丸みがあり、中央に2~3対の黒点がある。ハナグモに似ているが、腹部に黒点があることや、頭胸部の毛が目立つことで識別できる。平地から山地まで広く生息し、草地や林縁で見られる。夏から秋に見られる。全国に分布。
  • ♀4~6mm、♂3~4mm
  • 花にやってくる昆虫を待ち伏せ、獲物を捕らえる。 
  • ササグモ(ササグモ科)
     腹部中央に明るい条があり、その中に褐色の模様がある。歩脚に長いトゲがある。山地から平地にかけての草むらに生息する。似ているシマザサとクリチャザサとは模様や体色で容易に識別できる。しかし、コウライササグモとの識別には、交尾器を見る必要がある。夏に現れる。全国に分布。
  • ♀8~11mm、♂7~9mm
  • 参考動画:ササグモの求愛行動 - YouTube
  • 日中、草や花の上で獲物を待ち構える。
  • ハエトリグモの仲間・・・その名のとおり、ハエなどの昆虫を捕食する。
  • 参考動画:ハエトリグモの捕食シーンまとめ集!- YouTube
  • 日本では105種が確認されている。眼が大きく発達していて、前列に4つの眼が正面を向いている。地面を歩き回って獲物を見つけ、ジャンプして襲い掛かる。夜間は糸で巣をつくって休む。
  • 参考動画:人懐こいハエトリグモ - YouTube
  • アオオビハエトリ(ハエトリグモ科)
     ♂♀とも青色の金属光沢があり、腹部に黒い帯をもつ。神社や公園、草地など様々な環境で見られる。普段は、壁面や石の下に袋状の住処をつくり、その中に潜む。アリを専門に食べる習性を持ち、巣の引っ越し中の群れから幼虫を襲い食べることもある。夏から秋に見られる。本州以南に分布。 ♀5~7mm、♂4~6mm。
  • マミジロハエトリ(ハエトリグモ科)
     ♂は黒い頭胸部の先端に白い横帯がある。♀の腹部は茶褐色で後端に1対の特徴的な縦帯がある。最も普通に見られるハエトリグモで、草地に見られる。春から夏にかけて見られる。北海道から九州まで分布。 ♀6~8mm、♂6~7mm 。
  • ムツボシオニグモ(コガネグモ科)
     ♀の頭胸部は明るい褐色で腹部は黄色。腹部上面に通常3対の黒点があるが、数には変異がある。♂の頭胸部は黒く縁どられ、脚に縞模様がある。夏に見られる。北海道から九州まで分布。♀5~8mm、♂4~6mm。
  • 広葉樹の葉の表面、または枝先に小さな円網を張る。
  • トリノフンダマシ(コガネグモ科)・・・日中、葉の裏などで脚を縮めてじっとしていると、その姿が鳥の糞に似ていることが名前の由来。夕方から夜にかけて動き出すと、脚が全て現れるので、クモであることが分かる。
  • 参考動画:陽が当たり動き出したトリノフンダマシ Cyrtarachne bufo ♀ - YouTube
  • オオヒメグモ(ヒメグモ科)
     体は褐色で、腹部に黒い複雑な模様がある。♂は斑紋がはっきりしない。家屋や神社、公園、港など人工的な環境にもいる。不規則な網を張り、粘球の付いた糸を地表に下ろして徘徊性の節足動物などを捕らえる。
  • ♀5~8mm、♂2~4mm
  • ワカバグモ(カニグモ科)
     全身が緑色で、腹部が細長い。♂には色彩変異があり、頭や脚の節が赤色味を帯びる個体がいる。春から秋に見られる。北海道から九州まで分布。
  • ♀9~12mm、♂6~11mm
  • 草地や林縁などの葉や花の上でハエやハチなどの昆虫を待ち伏せする。
  • 参考動画:ワカバグモ(蜘蛛)がアブを捕食吸汁 - YouTube
  • ヤミイロカニグモ(カニグモ科)
     全身が茶褐色で、♂は♀に比べて黒っぽい。横に歩く様子はカニに似ている。山地から平地まで広く生息し、樹木や草本の上で獲物を待ち構える。春から秋に見られる。北海道から九州まで分布。
  • ♀5~10mm、♂4~7mm 
  • 参考動画:ヤミイロカニグモ♀(蜘蛛)がヒメハナバチ♀を捕食 - YouTube
  • ワキグロサツマノミダマシ(コガネグモ科)
     腹部背面が鮮やかな緑色で、腹面は褐色。山地や平地に広く分布し、樹林地や林道などで見られる。夏から秋に見られる。本州以南に分布。
  • ♀7~10mm、♂6~9mm
  • イオウイロハシリグモ(キシダグモ科)
     色彩変異が著しく、全身が黄色いもの、腹部に帯模様があるものなど様々。大形のクモだが、サイズのばらつきも大きい。脚が細く長いのが特徴。類似種もいるが、本種に比べて脚が短く、生息地も水辺に限定される。生息地は幅広く、開けた草地や林縁、森林内にも生息。夏から秋に見られる。北海道から九州まで分布。
  • ♀12~26mm、♂12~18mm
  • 産卵時は、植物体の上に産室を作る。
  • スジアカハシリグモ(キシダグモ科)
     頭胸部及び腹部に赤褐色の縦条が入る。主に山地に生息し、森林内や崖地、渓流沿いの低木や草の上で獲物を待ち構える。スジブトハシリグモに似ているが、本種は若干小さく、縦条の赤色味も強い。夏から秋に見られる。北海道から九州まで分布。♀11~18mm、♂15~16mm。
  • アリの真似をするアリグモ(ハエトリグモ科)
     クモの脚は8本だが、アリの脚は6本。アリグモは、余った2本はアリの触覚の真似をして、あたかも昆虫のアリのようにふるまう。
  • 参考動画:アリに擬態したアリグモ - YouTube
  • なぜアリの真似をするのだろうか?
     アリは、スズメバチの仲間の一種から分かれて、地中で生活するように進化したものと言われている。アリは次第に進化して針をなくし、その代わり「蟻酸」という毒液をふきかける。これが動物の皮膚などにかかると、ヒリヒリする強い毒である。また、アリは強力な大アゴをもち、咬みつく力も強い。アリは小さいが、かなりの武器をもっていると言える。だから、他の生き物たちは、アリが苦手で襲うものは少ない。そこでアリに似せて身を守ろうとするものが現れる。アリグモは、アリそっくりな姿と動き方をして、敵の目をごまかす。
参 考 文 献
  • 「クモハンドブック」(馬場友希・谷川明男、文一総合出版)
  • 「クモの巣ハンドブック」(馬場友希ほか、文一総合出版)
  • 「クモのイト」(中田兼介、ミシマ社)
  • 「クモはなぜ糸から落ちないのか」(大崎茂芳、PHP新書)
  • 「ファーブル先生の昆虫教室」(奥本大三郎、ポプラ社)
  • 「すごい自然図鑑」(PHP)
  • 「ずかん 虫の巣」(監修・岡島秀治、技術評論社)
  • 「昆虫の生態図鑑」(学研)
  • 「講談社の動く図鑑 move昆虫」(講談社)