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傘は鮮やかな朱紅色を帯び、紅マスやサクラマスの身の色に似ていることから「マスタケ」と名付けられた。釣り好きにはたまらない名前のキノコである。秋田では、古くから食用にしていたようで、江戸時代の紀行家・菅江真澄の遊覧記には・・・ 「朝飯に、鱒の肉色をしたマスタケの料理をすすめられた。マスタケは、クリ・カツラなどの古木に生えるもので、若いサルノコシカケのようなものである」と記している。 |
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![]() 夏から秋、ミズナラなどの広葉樹やモミ、ツガなどの針葉樹の倒木、枯れ幹に発生する。鮮やかなマスの肉色をした大型のキノコで、遠くからでも見つけやすい。キノコは波打った扇型で、多数重なり合って大きな株をつくる。1本の倒木から数kg、時には10kgを超える収穫がある。 |
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▲秋のマスタケ(9月下旬) マスの肉のように紅色が美しく、上の写真のように7株も群生しているとまるでキノコの花のように見え美しい。裂いてみると、肉の色はマスの肉色に似ている。 |
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▲旬の幼菌 | |
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▲食用に適さない老菌 | |
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![]() 大きくなると硬くボソボソになるので、柔らかい幼菌のうちに収穫する。その判別法は、マスタケを指で押さえ、耳たぶくらいの柔らかさであるものを選んで採る。傘全体を上から押す、あるいは下から持ち上げ、形を壊さずに採る。 |
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![]() 「大木のなかば朽ちている所に、マスタケが生えているといって、案内人が採ってきた。これは桂の朽木であろう。ブナの木にはエゾハリタケ・ムキタケが生える、などと語りながら、一の腰という高い峰に登る・・・」 200年前、森吉・阿仁地方では、マスタケやエゾハリタケ、ムキタケなど、ブナ林に生えるきのこを採って食べていたことが分かる。真澄遊覧記を読めば、きのこにとどまらず、山菜、川漁、狩猟も含めて、ブナ林の恵みに依存した暮らしがあったことが分かる。 |
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![]() 9月になると、マスダケやシカダケが生えます。・・・マスダケは色が赤く、大きく太っいます。若い時はなめらかで、ヌルヌルしています。マイダケのように匂いはありませんが、煮物などに入れると、マイダケより美味しくなります。他の木にも生えるのかもしれませんが、私はナラノキに生えているのしか見たことがありません。 |
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![]() 生食すると中毒するので、必ず火を通して調理すること。味にクセはなく、しっかりした肉質で鶏肉のような食感があり、薄切りにしてフライ、天ぷらなど揚げ物に向く。その他、マリネ、オリーブオイル炒め、バター炒め、煮物、味噌漬けなど。 |
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![]() ![]() マスタケは、いったん塩漬けにして数ヶ月間保存した後、塩出ししてから料理に利用すれば、出汁の味がしみ込み美味しい「きのこ」に変身する。 ![]() 秋田では、昔から味噌漬けにする。生食すれば中毒を起こすので、必ず茹でてから味噌漬けにする。まずマスタケを流水で洗い、手で食べやすい大きさに裂く。沸騰した湯に入れ、再度沸騰したらザルにあげ、よく水を切ってから味噌漬けにする。 |
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ヌケオチ(エゾハリタケ) | |
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秋田では、マタギが冬に半腐れになって落ちてきたものを利用したことから「ヌケオチ」と呼ばれている。拾ったヌケオチは、一昼夜、米のとぎ汁にに浸し、熱湯で湯がく。その後、味が染みるまで味噌漬けにする。食べる時は薄切りにして盛り付ける。軟骨をかむような歯触りで珍味中の珍味だという。 | |
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参 考 文 献 | |
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