野鳥シリーズ99 ウソ
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- 口笛のような声で鳴くウソ(鷽、アトリ科)
口笛のような声で鳴き、頬が紅色で肥満体気味の体形の小鳥。夏山の八幡平など高山のオオシラビソやハイマツの森でよく見かける。本州中部以北の亜高山帯で普通に繁殖し、冬季は大部分が低山帯や丘陵地に移動する。冬鳥として渡来する別亜種アカウソは、胸が淡い紅色を帯びる。別亜種ベニバラウソは、下面全体が紅色。利尻島のものは、アカウソと言われている。
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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- ♂の特徴・・・喉元から首にかけて鮮やかな紅色で、体は灰色。黒いクチバシは短く太い。これは種子をすりつぶして食べるのに適している。雌雄ともに、クチバシの周りから後頭部にかけて帽子状の黒い羽毛が見られる。
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- 別亜種アカウソ・・・お腹が赤い。ウソの群れに混じって、各地で目撃されている。
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- 名前の由来・・・口笛のような声で鳴くことから、「口笛を吹く=うそぶく」から名付けられた。
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- 大宰府天満宮「鷽替え」神事・・・大宰府へ左遷された翌年、902年、道真公が大切な神事を行っていた際に無数の蜂が襲来した。そこへ愛鳥である鷽鳥が飛来して蜂をすべて食べ尽くし、危機から脱したという故事から、「鷽鳥?は厄災をウソにし、幸運を招く鳥」とされた。この伝承から、木製のウソを交換し合って幸運を求める「鷽替え」の神事が行われるようになったという。大宰府で行われていた神事が、文政期に江戸や大阪にも広まった。
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- 声・・・「フィヨフィヨ」「フィーフィー」と、口笛のような音色で鳴く。地鳴きは短く「フィー」。
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- 生活環境・・・夏の繁殖期、亜高山帯の針葉樹林に棲息し、北海道東部では低地の針葉樹林にも見られる。秋から春先にかけて、南方や低地に移動する。この時期、民家の庭先などでも、梅や桃、桜のツボミをむしって食べる様子が観察される。
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- 食性・・・昆虫やクモ、木の実、草の実、木の葉など。針葉樹の枝先や低木の葉の茂み、時には地上にも下り、蛾の幼虫などの昆虫やクモを捕食する。また木や草の実、木の葉なども多く食べる。ヒナにも植物質がかなり含まれる。
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- 繁殖期・・・5~7月、強い縄張り意識をもたず、近くに別のツガイが営巣していても余り気にしないらしい。一夫一婦制で、抱卵は♀のみ。その間、♂は♀のもとにエサを運ぶ。卵数4~6個、抱卵日数約12~14日、巣立ち日数約12~16日。
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- 越冬期・・・数羽から10数羽の小さな群れで生活し、落葉広葉樹林で多く見られ、ズミのような液果やカエデ類の乾果、木の冬芽や花芽を食べる。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
- 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
- 「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
- 「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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