野鳥シリーズ89 ノゴマ
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- 喉が赤いノゴマ(野駒、ヒタキ科)
大きなエゾニュウの花の上で赤い喉を震わせながらさえずる小鳥。夏鳥として北海道に渡来し、平地から亜高山帯の草原、明るい林に生息する。秋田では旅鳥として観察されている。岩手県では繁殖記録がある。春と秋の渡り期には、本州から南西諸島の平地林や公園林でも見られる。動物食で主に昆虫類を捕食し、植物の実も食べることがある。
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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- 特徴・・・♂は、喉が赤く、白い眉斑と顎線が目立つ。頭部から上面は褐色で目先は黒い。腹の中央から下尾筒は白っぽい。
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- ♀・・・喉は白っぽく、わずかに赤みのある個体もいる。
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- 名前の由来・・・野に住むコマドリの意味。江戸時代からノゴマの名で知られ、ノゴドリ(喉紅鳥)とも呼ばれた。
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- 声・・・繁殖期、草の上や低木の梢などにとまって、「チィーチョチョチ、チョロロ、チリリ」と、よく通る高い声でさえずり続ける。地鳴きは「ヒッヒッヒッ」と高かったり、「クワッ、クワッ」と低かったりする。
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- ♂がさえずる際は、赤い喉を大きく膨らませてさえずる。背筋を伸ばして尾を斜め上に立てたりもする。夜9時、10時になってもさえずり続けていることがよくある。
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- 繁殖地・・・ユーラシア大陸東部の亜寒帯で広く繁殖し、日本では北海道に夏鳥として渡来し繁殖する。1979年7月、岩手県の早池峰山で巣立ち直後の幼鳥が観察されていることから、東北地方の一部でも繁殖している可能性が高いと言われている。
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- 生息環境・・・低木がまばらに生えた草原を好む。北海道では海辺の草地や平野部の牧場、標高1000m以上のハイマツ帯でも見られる。鳥類の生息条件は、単なる標高や気候によるものではなく、「低木がまばらに生えた草原」が重要な要素になっていることを示す好例と言われている。
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- 食性・・・昆虫やミミズなど。地上の開けたところを軽く跳ねながらエサに飛びついて捕らえる。秋の渡りの際は、小さな果実も食べる。
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- 繁殖期・・・6~8月、一夫一妻で繁殖する。ツガイで縄張りをもち、♂は低木の梢やエゾニュウなどの大きな草の上、杭や電線などでさえずる。地上の草の間や低木の根元に枯れ草や細根で椀形の巣を作る。卵数は3~5個。
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- 給餌・・・ヒナに与えるエサは、主として昆虫だが、ミミズなどを捕らえることも多い。
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- 渡りの時期・・・本州以南の各地を通過し、川原、海辺の草地、平地や低山のヤブなどで観察されたり、窓ガラスにぶつかって死んだものが記録されたりしている。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
- 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
- 「くらべてわかる野鳥」(叶内拓哉、ヤマケイ文庫)
- 「里山の野鳥百科」(大田眞也、弦書房)
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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