野鳥シリーズ87 アカハラ
|
 |
- 腹が赤っぽい(橙色)アカハラ(赤腹、ヒタキ科)
胸と脇腹が橙色のツグミ類。夏鳥として本州中部以北の山地林に渡来し繁殖する。山地の明るい林、疎林を好み、林縁で繁殖する。カラマツなどのてっぺんにとまって、まだ薄暗い早朝から繰り返しさえずる。冬季は、本州中部以西のの平地林、市街地の森林公園などで見られる。雑食性で、主に地上で昆虫類を捕食する。秋には植物の実を食べる。
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
|
 |
- 特徴・・・胸と脇が濃い橙色で、腹の中央は白い。♂の顔は、♀よりも黒っぽい。♀はやや色が淡い。
|
 |
- 見分け方・・・似ているマミチャジナイには、明瞭な眉斑と目の下の白斑があるので識別できる。
|
 |
- 声・・・夜明け前の早朝から夕方遅くまで「キョロン、キョロン、チリリリ」とやや間隔を空けながら繰り返しさえずる。その他「ホィチョー、チリリリ」「キッキッキロン、キョロン、チィー」などと変化も多い。地鳴きは、「ツィー」と鋭く、飛び立つ時は「クヮッ、クヮッ」と鳴くことが多い。
|
 |
- 名前の由来・・・胸と脇腹が赤い(橙色)ことから。江戸時代からアカハラの名で知られ、アカハラツグミ、チャツグなどとも呼ばれていた。
|
 |
|
 |
- 生息環境・・・明るい林や木がまばらに生えた環境を好み、カラマツ林や草原と林が接するような所に個体数が多い。ツガイで縄張りをもち、♂は木の梢で早朝から大きな声でさえずる。
|
 |
- 食性・・・地上で落葉をはねのけて昆虫やミミズを捕食する。木の実も好み、枝に残った柿の実をついばんだりする。
|
 |
- 夏鳥・・・4月下旬ころ、♂が飛来して、直径300m以上の縄張りをつくる。縄張りが広いので、それを宣言するさえずりは木の高いところで行われる。遅れて♀が飛来して縄張りをもつ♂とツガイになる。
|
 |
|
 |
- 営巣・・・巣は林内より林縁部の高さ2m前後と低い位置に作られることが多い。だから卵やヒナがヘビなどの天敵によく襲われるという。卵数は3~5個で、♀だけが卵を抱いて約14日でヒナがかえる。ヒナへの給餌は、♂と♀が共同で行い、約13日で巣立つ。
|
 |
- 給餌のエサ・・・ヒナに与えるエサは、圧倒的にミミズが多い。ヒナが大きくなると、カルシウムを補うために、殻付きのカタツムリを運んでくることがある。
|
 |
- 秋・・・10月頃は、ズミやミズキ、ウルシなどの実に群がり、賑やか。類似種のマミチャジナイが混じっていることもある。
|
 |
参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
- 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
- 「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
- 「くらべてわかる野鳥」(叶内拓哉、ヤマケイ文庫)
- 「里山の野鳥百科」(大田眞也、弦書房)
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
|