野鳥シリーズ84 ゴジュウカラ
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- 唯一逆さのまま下りることができるゴジュウカラ(五十雀、ゴジュウカラ科)
キツツキのように木の幹に垂直にとまったり、頭を下にして木の幹を上から下に向かって歩くことができる器用なカラ類。留鳥として九州以北の低山から山地の落葉広葉樹林に生息する。雑食性で、樹皮の裏や隙間にいる昆虫を捕食したり、秋は木の実を食べるだけでなく、冬に備えて樹皮の隙間に蓄える貯食行動も見られる。越冬期は、シジュウカラ類と混群を形成する。北海道には亜種のシロハラゴジュウカラがいるが、ここでは区別せずに掲載する。
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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- 特徴・・・雌雄同色。鋭いクチバシをもち、頭頂から上面、尾羽は青灰色で、黒く明瞭な過眼線がある。喉から下面は白く、脇は褐色みがあり、下尾筒はレンガ色。尾は短い。
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- 北海道に生息するシロハラゴジュウカラ・・・お腹部分が白い点で、本州のゴジュウカラと異なる。平地でも繁殖するという。
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- 名前の由来・・・四十雀(シジュウカラ)に似ているが、少し違う鳥という意味で、「五十雀」と命名された。江戸時代の俳人・小林一茶の句、「むずかしや どれが四十雀 五十雀」。双眼鏡がなかった時代を考えると、この小さな鳥を遠くから眺めたとすれば、この句のとおり、識別が難しいのもよく分かる。
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- 声・・・「フィフィフィ」と高い声でさえずる。ゆっくりしたテンポで「ピィ ピィ ピィ」と鳴くこともある。地鳴きは、「ツツッ」「ツチッ」「チー」など。
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- 生息環境・・・ブナ、ミズナラなどの落葉広葉樹の大木のある自然林を最も好む。
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- 得意技・・・強く鋭い足の爪で木の幹を自在に歩き回る。特に垂直な木の幹でも頭を下にして下りることができるのはゴジュウカラだけの得意技である。ただし一直線に下りるのではなく、エサを探しながら螺旋を描くように下りる。
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- 食性・・・昆虫やクモ、木の実を食べる雑食性。樹皮の割れ目、地衣類の間などを探って昆虫類を捕食する。
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- 貯食・・・虫が少なくなる秋は、木の実を食べる。さらに冬に備えて、拾った種子を木の割れ目や樹皮の間に押し込んで貯食もする。こうした習性は、ヤマガラやシジュウカラなどと共通している。
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- 営巣・・・繁殖期、ツガイで縄張りをもち、キツツキ類の古巣などに営巣する。巣箱を利用することもある。
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- 左官屋・・・巣穴の味の長いクチバシをテコのように使って泥で塞ぎ小さくする。まるで左官屋のような行動をする。
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- ヤマゲラの巣穴を乗っ取るゴジュウカラの観察・・・北海道にのみ生息するヤマゲラの♀(アオゲラの♀と違って頭部に赤色がない)。ヤマゲラ♂♀が新築中のマイホームは上の写真。
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- ケンさんが観察した記録を要約・・・ヤマゲラが巣穴掘りの休憩中と思われるタイミングにゴジュウカラは家財道具(枯れ葉のベットなど)を運び入れる。
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- 巣穴の出入口が大きいので身の丈に合わせて、幌内川の河畔からツバメのように嘴で泥を運ぶ。
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- 運んだ泥で盛んに左官作業を行い、出入口を小さくリするリフォーム工事を数分で行う。
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- ヤマゲラは、ゴジュウカラの乗っ取りに気付くと、すぐさま巣材を放り出し、出入口の泥土を投げ飛ばす。
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- この激しい攻防は、10:30~16:00まで5、6回も観察。乗っ取る方も乗っ取られる方も、忍耐強く我慢比べの感があったという。
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- 産卵期4~6月、卵数約7個、抱卵日数約14~15日、巣立ち日数約23~25日。 (写真:ヒナへの給餌)
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
- 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
- 「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
- 「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
- 「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
- 「くらべてわかる野鳥」(叶内拓哉、ヤマケイ文庫)
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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