野鳥シリーズ82 ツツドリ
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- 筒を叩くように鳴くツツドリ(筒鳥、カッコウ科)
日中、高所にとまって「ポポ、ポポ、ポポ・・・」と筒を叩くように連続して鳴く。夏鳥として九州以北の山地林や亜高山帯の林に渡来する。大形の毛虫を好んで食べる。北海道内の林では、高木の上など目立つ場所で鳴く個体が多いという。主にセンダイムシクイに托卵するが、北海道ではウグイスにも托卵する。
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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- 見分け方・・・カッコウとよく似ているが、下面の黒い横縞が約13本に対して9~11本と少なく、その幅が広く粗い。♀には全身が赤みを帯びた赤色型の個体もいる。ホトトギスの黒い横縞は7~9本と少ない。
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- 名前の由来・・・「ポポ、ポポ、ポポ・・・」と筒を叩くような鳴き声が和名の由来。平安時代からツツドリの名で知られているが、フフトリ、ホホトリとも呼ばれた。江戸時代には、タネマキドリ、ナワシロトリ、ムギウラシなどの方言もあった。
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- 声・・・繁殖期、「ポポ、ポポ、ポポ・・・」と竹筒の切り口で叩くような声で鳴く。
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- 食性・・・毛虫が大好きで、モンクロシャチホコやスズメガなど大形の毛虫を好んで食べる。サクラの木では、バサバサッと羽ばたいて枝移りしたかと思うと、毛虫をくわえている。
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- 托卵する鳥・・・センダイムシクイ、メボソムシクイ、ウグイス、サンコウチョウ、ビンズイ、メジロ、キビタキ、オオルリ、ノジコ、アオジ、モズなど。本州では、主にセンダイムシクイに白っぽい卵を托卵しているが、北海道中部のホトトギスがいない地域では主にウグイスの巣に赤っぽい卵を托卵していることが知られている。
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- ウグイスへの托卵・・・北海道中部では、ウグイスの巣にそっくりな赤茶色の卵を産む。だからウグイスは簡単に騙されて抱卵するという。しかしこの地方では、センダイムシクイの巣にも赤茶色の卵を産んだ例があり、明らかに色の違う卵であっても抱卵していたという。ムシクイ類は卵の色の違いに鈍感なようで、ツツドリはムシクイ類を主な相手に托卵してきたと言われている。
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- 秋の渡りの時期・・・市街地でもサクラの木が多い公園や城内などには毛虫を食べにやってくる。
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- 農事に関する言い伝え・・・「ツツドリが鳴いたらアワをまけ、カッコウが鳴いたら豆をまけ、ホトトギスが鳴いたら田植えせよ」と、カッコウの仲間の初音と農事に関する言い伝えは全国にある。秋田の八郎潟沿岸の鹿渡などでは、「カッコドリ(カッコウ)さ豆まげ、ドットドリ(ツツドリ)さアワまげ」などと古くから言い慣わしてきた。
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- カッコウとツツドリの夫婦神(「アイヌの食文化/日本の食文化①北海道・東北1」より抜粋)
神の国で、魚の入っている家を守って暮らしているのはカッコウとツツドリの夫婦神で、北海道にはこの神が漁兆を示すという言い伝えが残っている。それは春になって神が外に出るときの出方で決まる。男神が先に立つと、女神はていねいに戸口を閉めるが、女神が先だと男神はろくに閉めずに妻の後を追うので魚がそこから出るため、豊漁になるのだという。そのため、女神であるツツドリが男神であるカッコウより先に鳴く年は大漁になるといって喜んだ。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
- 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
- 「里山の野鳥百科」(大田眞也、弦書房)
- 「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ、主婦と生活社)
- 「伝承写真館・日本の食文化①北海道・東北1」(農文協)
- 「くらべてわかる野鳥」(叶内拓哉、ヤマケイ文庫)
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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