野鳥シリーズ74 ブッポウソウ
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- 仏法僧とは鳴かないブッポウソウ(仏法僧、ブッポウソウ科)
キジバトよりやや小さく、体は光沢がある青緑色で、飛ぶと大きな白斑が目立つ。この仲間は、アフリカから熱帯アジア、オーストラリアにかけて16種が知られる南方系のグループで、色彩がかなりエキゾチックな鳥である。鎌倉時代からコノハズクの鳴き声に誤認され、仏法僧と呼ばれた。夏鳥として本州、四国、九州に飛来する。一定の場所から飛び立って、空中で大型の昆虫などを捕らえる。近年、営巣木の伐採や昆虫の減少などで激減し、絶滅危惧ⅠB類に指定。繁殖地は局地的で、山梨県身延町や長野県三岳、岐阜県洲原神社、宮崎県狭野神社などの繁殖地は国の天然記念物に指定されている。
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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- 特徴・・・雌雄同色。頭は黒く、体は青・紫・緑色の光沢があり、クチバシは短めで赤い。喉は紺色。翼が長いので、飛ぶと大きく見え、翼に白斑が目立つ。
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- 名前の由来・・・フクロウの仲間・コノハズクの鳴き声「ブッ、ポウ、ソウ」と鳴く声に誤認されたことから、「仏法僧」と書く。仏法僧は、仏の教えを布教する僧という意味があり、古くから霊鳥として扱われてきた。
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- 声・・・繁殖期、巣の近くで「ゲェーゲゲゲゲ」と濁った声を出しながら飛び回ることが多い。縄張り争いの時は、「ゲゲッ、ゲゲッ」と鳴く。ちなみに、その鳴き声が「ゲゲゲの鬼太郎」を連想するが、調べると、全く関係がなかった。
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- フライングキャッチ・・・昆虫食で、飛んでいるセミやコガネムシなどをフライングキャッチで捕まえる。高い枯れ枝などに止まって見張り、飛んでいる昆虫を見つけると飛び立って空中でくわえ捕り、再び同じ枝に戻って飲み込む。
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- 別名も多数・・・飛翔が巧みで、しなやかな翼の動きで反転、急降下などを軽快にし、時々「ゲッ、ゲッ」とよく好き透る声で鳴くので、「チョウセンガラス」「イワツバメ」「ホシガラス」「カラス」などとも呼ばれている。
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- 営巣・・・社寺の境内で繁殖する例が多く、大木の樹洞やキツツキ類の古巣穴に営巣する。建物の隙間やダムの排水口、ヤマセミの古巣穴を利用した例がある。巣箱も良く利用する。中国地方では、木の電柱に穴を掘って営巣することがあり、被害が問題になったこともあるという。
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- 産卵期・・・5~7月、卵数3~5個、抱卵日数約22~23日
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- 春の渡りの時期・・・5月中旬~6月上旬。市街地でも大木のある森林公園や社寺林、高い煙突がある場所などで見られる。
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- ブッポウソウが好む里地里山・・・人里に近い里地里山は、周囲に雑木林や田んぼ、畑、ため池といった里山環境が広がっている。よく手入れされた里地里山は、昆虫の多様性が高く、個体数も多いので、ブッポウソウにとって絶好の環境である。その中にある鎮守の森・社寺林は格好の繁殖地となっている。
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- 減少している理由
1. 大木のある森林の伐採
2. 営巣に適した社寺林の減少
3. 里地里山の荒廃
4. 営巣に利用された木製の電柱からコンクリート製の電柱に替わったなど
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
- 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
- 「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
- 「猛禽探訪記」(大田眞也、弦書房)
- 「絶滅危惧の野鳥事典」(川上洋一、東京堂出版)
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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