野鳥シリーズ65 カイツブリ
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- 浮き巣で子育てする潜水名人・カイツブリ(カイツブリ目カイツブリ科)
日本最小で、都市公園の池でも繁殖する最も身近なカイツブリ類。留鳥として本州中部以南に分布する。東北北部から北海道では夏鳥。ヨシの間や水面に垂れる枝などに浮き巣をつくって繁殖する。巧みに潜水して魚類や甲殻類を捕食することから、「潜水名人」と呼ばれている。
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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- 名前の由来・・・水を掻いて潜ることから「かきづぶり」と呼ばれ、それが転訛したとの説がある。室町時代以前の古名は「鳰(にお)」または「鳰鳥(におどり)」で、「入」と「鳥」を合わせた漢字は水に没入することを示している。「万葉集」や「古事記」にも「鳰鳥」として登場している。カイツブリは、古くから潜水する鳥の代表として認識されていたことが分かる。
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- 特徴・・・夏羽は、クチバシが黒く、クチバシ基部に黄色い斑がある。頬から首にかけて黒ずんだ赤。目の虹彩(こうさい)は淡い黄色。冬羽は、全体的に淡い色で、クチバシに白っぽい部分がある。雌雄同色。
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- 若鳥・・・クチバシは、黄色っぽさがある。成鳥より全体に淡い色。
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- 声・・・普段は「キュリ」と鳴き、繁殖期は「キュリリリ・・・」とけたたましく鳴く。
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- 潜水名人・・・カイツブリ類は、足指にヒレ状の弁がついていて、それで水を掻いて巧みに潜水する。カイツブリは、最長25秒ほど潜ることができ、魚のほか水生昆虫を捕食したり、ヒシの実のような植物質のエサもとる。外敵に気付くと潜水し、遠く離れた水草の間などに浮上して難を逃れる。
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- 食性・・・池のクチボソやモツゴなどの魚のほか、水生昆虫もよく捕らえ、ヒシの実のような植物質のエサもとる。
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- 繁殖期・・・ツガイで生活し、ある範囲の水面を縄張りとする。繁殖期は長期にわたり、2月ころ幼鳥が見られることもある。
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- 交尾その2・・・サクラが満開の中、交尾の瞬間を花でモザイクをかけた絶妙なアングル。タイトルは「花鳥風月?」
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- 浮き巣で子育て・・・カイツブリの仲間は、水に浮いているように見える巣を作る。実際は、浮いているわけではなく、アシなどの水草に枯れ草などを絡めたり、水面に垂れる枝などに枯れ草などを置いて巣を作っている。
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- 卵数・・・3~6個。浮き巣の上に白っぽい卵が3個見える。
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- 抱卵日数・・・20~25日ほど。雌雄交代で抱卵する。
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- 浮き巣にいるカイツブリの親子・・・ヒナは4羽見える。
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- 背中に乗せて子育て・・・ヒナは孵化してすぐに水に浮かび、泳ぐことができる。しかし何かあるとすぐに親鳥の背中に逃げ込む。都市公園などでも、親鳥がヒナを背中に乗せて移動する、微笑ましい光景を見ることができる。
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- 俳句・・・鳰は冬の季語、鳰の浮巣は夏の季語
かいつぶり(鳰)大きくなりて現はるる 松本ヤチヨ
舷(ふなばた)の高さに浮巣上がりけり 佐久間慧子
緑地課の預りとなる鳰浮巣 能村研三
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- 琵琶湖は別名「鳰(にお)の海」・・・琵琶湖は古くは「鳰の海」と呼ばれていた。小林一茶の俳句でも、「夕雉の走り留や鳰の海」と詠まれている。だから、カイツブリは滋賀県の県鳥に指定されている。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
- 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
- 「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
- 「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
- 「くらべてわかる野鳥」(叶内拓哉、ヤマケイ文庫)
- 「俳句歳時記」(角川学芸出版)
- 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記」
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