樹木シリーズ95 ツルウメモドキ
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- 生け花やリースに重宝されるツルウメモドキ(蔓梅擬、ニシキギ科)
美しい実をいっぱいつけるので、秋の生け花やリースによく利用される。山野の林縁や道端に普通に生えるツル性の落葉樹。ほかの木に巻き付いて、高さ5mほどまでよじ登る。晩秋、黄色く熟した実は3つに裂け、真っ赤な仮種皮が現れる。この目立つ果実は、ツグミ、ウソなどの野鳥やテン、ニホンザルなど多くの生き物たちが食べる。仮種皮が黄色いキミツルウメモドキ、変種には葉が厚くて小さく光沢があるテリハツルウメモドキ、葉の下面に短い柱状突起があり、若枝と花序は無毛のオニツルウメモドキ(イヌツルウメモドキ)がある。
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- 名前の由来・・・ツル性で、真っ赤な果実が群がってつく様子がウメモドキに似ていることから。
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- ツル・・・他の木にからみ這い上がる。ツルは左巻き。ツルの太いものは直径25cmほどになる。
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- 葉・・・卵形の基部はクサビ形で、葉先が急に細くなり小さく突き出る。鋸歯は波形で不揃い。
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- 花・・・実はよく目立つが、花は地味で小さく目立たない。葉腋から短い集散花序を出し、黄緑色の小さな花を10数個開く。雌雄異株。
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- 雌花・・・退化した短い雄しべが5個と柱頭が3裂した雌しべが1個ある。
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- 果実・・・蒴果は球形で、秋に黄色に熟すと3つに裂け、中から赤色の仮種皮に包まれた種子が現れる。ツル性の仮種皮の色が美しいので、生け花やリースによく使われる。
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- 次第に黄色実を帯び、完熟すると種皮がはじけて、中から真っ赤な実が顔を覗かせる。
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- 種皮が裂けて赤い実が現れるのはニシキギ科の特徴。落葉後も枝上に残る。
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- 花材・・・実つきのツルは花材として人気があり、丸く束ねるだけで素敵なリースに早変わりする。
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- 大群落・・・11月下旬、落葉した枝一面を覆うように群がって生えるツルウメモドキ
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- 野鳥を惹き付ける・・・果皮の黄色と仮種皮の赤の鮮やかな対比は、種子を運んでもらう鳥の目を引く作戦らしい。ツグミ、ヒヨドリ、ウソ、メジロ、ヤマドリ、キジなど。主に鳥によって種子が散布される。
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- ツルの利用・・・花材のほか、鹿児島県では、このツルを牛の鼻に穴をあけて通し、鼻輪にしたことから、ハナグイカズラという。このツルは、繊維が強いので、昔は薪を束ねるのに使われた。
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- アイヌの衣服「アットゥシ」・・・アイヌ民族の伝統的な衣服「アットゥシ」は、オヒョウやハルニレ、シナノキなどとともにツルウメモドキの樹皮繊維も使われている。繊維の採取は、12月~翌年3月にツル状の枝を採り、縦に半分に割って樹皮を内皮と外皮に分ける。内皮を束ねて熱湯に数分間漬け、濃い緑色になったら雪の上で二週間ほどさらして白くし、これを細く裂いて撚り、地機で布に織り上げる。その他、荷負縄や弓の弦、女性の下帯、メカジキ漁の銛を結ぶヒモなど、丈夫さが求められる道具に利用した。
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- ツルウメモドキを使った生け花その1・・・ウメモドキと同様、生け花によく利用される。2014年、秋田で国民文化祭が開催された際、ツルウメモドキを使った華道(いけばな)展示の作品。
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- ツルウメモドキを使った生け花その2・・・京のいけばな展2011(京都市下鴨神社)
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「続゛読む゛植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
- 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
- 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)
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