樹木シリーズ68 メタセコイヤ
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- 生きた化石・メタセコイヤ(アケボノスギ、スギ科)
大昔に絶滅した化石植物と思われていたが、1946年に中国奥地で発見され、「生きた化石」として有名になった。中国では「水杉(スイサ)」と呼ばれる川辺や湿地に生えているスギ科の落葉針葉樹。秋、針葉樹では珍しく美しく紅葉し、側枝ごと落葉する。円錐形の整った樹形が美しく、公園樹や街路樹として植えられる。
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- 名前の由来・・・1939年、大阪市立大学教授の三木茂博士はセコイアに似た植物化石を発見し、「メタセコイア」と命名して、1941年に学会に発表した。「メタ」とは「変化した・異なった・後の」という意味で、「メタセコイア」とは「セコイアとは似ているが、違ったもの」というような意味で命名された。和名は「アケボノスギ」と呼ばれている。
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- 花期・・・2~3月、原産地では高さ35m、直径2.5mにもなる。
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- 花・・・葉が芽吹く前に、雄花は長枝の先から垂れ下がる。雌花は緑色で、長枝から伸びた短枝に1個づつ対生する。
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- 落葉期になると枝先から垂れ下がって目立つようになる。3月の終わり頃には落下する。雌花は授精すると、やがて球果を形成する。その年の秋から冬には開いて種子を散布する。
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- 雄花の花穂(ツボミ)・・・長いものは20cm以上ある。
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- 葉・・・葉は線形で、明るい緑色。質感は柔らかい。葉が2枚ずつ対になって生える二列対生。
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- 紅葉・・・黄色やオレンジ、ピンク、紅色、褐色が混じり、広葉樹では見られない色になる。
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- 松ぼっくり・・・1年型で、2個づつぶら下がる。その年の10~11月には熟して果鱗が割れる。
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- 唇形・・・果鱗の先は横に長い盾状で、中央が窪んで唇の形に見える。
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- 風散布・・・茶色に熟すと果鱗が割れ、隙間から丸い翼をつけた種が風に乗って飛んでいく。種は約20個。松ぼっくりは春も枝に残っている。
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- 生長が速い・・・メタセコイアは生長が速く、1年間に1mも成長する。すらっとした樹形で、高さ25m以上になる。
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- 絶滅種?・・・新生代第三紀(6,500万年前~200万年前)に栄えていた植物で、北半球の各地に湿地林をつくり、北極圏まで勢力を広げていた。植物学者三木茂博士は、1939年にセコイアに似た植物化石を発見し、現存のセコイアとは異なるとして「メタセコイア」と命名し学会に発表した。日本では、100万年ほど前に絶滅しており、世界的にも絶滅種とされていた。
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- 生きた化石・・・1946年、中国の四川省で林務官によって現存種が発見され、植物学者が詳細に調べたところ、針葉樹の形質が三木博士の言うメタセコイアに一致することが判明し、現存する「メタセコイア」として発表され、「生きた化石」として一躍有名になった。
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- 日本に入ったのは?・・・1949年、その種子から育苗していたアメリカの博士から天皇に献呈されたのが日本に入ったメタセコイア第1号。翌年、100本の苗木がアメリカから送られ、それらの木から挿し木された苗が日本各地に広がり、学校等に移植された。
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- 公園樹、並木・・・成長が早いので林業用樹種としても検討されたが、材質的に難があり採用されなかった。しかし、樹形が美しいことから、公園や並木として全国に植えられている。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
- 「探して楽しむ ドングリと松ぼっくり」(山と渓谷社)
- 「拾って楽しむ 紅葉と落葉」(山と渓谷社)
- 「教えてゲッチョ先生 雑木林のフシギ」(盛口満、ヤマケイ文庫)
- 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
- 「NHK趣味悠々 樹木ウォッチング」(日本放送出版協会)
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