樹木シリーズ46-3 ノウゼンカズラ、アメリカノウゼンカズラ
INDEX ノウゼンカズラ、アメリカノウゼンカズラ |
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- ラッパ形の大きな花を咲かせるノウゼンカズラ(凌霄花、ノウゼンカズラ科)
オレンジ色の派手な花はラッパ形で、遠くからでも良く目立つ。花の盛りは盛夏だが、初秋まで次々と花をつける。中国原産のツル性植物で、古くから観賞用に植えられている。「本草和名」(918年)には既に載っているので、日本への渡来はかなり古い。茎は長く伸び、付着根を出して他の物に吸着して這い上る。日本では結実しにくい。
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- 名前の由来・・・古くには、ノショウ又はノショウカズラと呼ばれていたが、それが転じてノウゼンカズラになったと言われている。中国名は、「霄(そら)」を「凌(しのぐ)」ほど伸びるという意味で「凌霄(りょうしょう)」という。ノショウは、その「凌霄」の音読みがなまったものと考えられる。「カズラ」は、蔓性の植物の総称である。
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- 花・・・枝先に円錐花序をだし、直径6~7cmのオレンジ色の花を対生してつける。花冠はトランペットの形をしており、先端は5裂して平開する。雄しべは4個のうち2個が長い。
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- 小葉・・・その数は5~9枚と少ない。表面は緑色で、無毛。
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- 夏から初秋まで次々と花をつける。茎の節ごとに細い根を出し、ほかのものに張り付き、からみついて高く伸びるツル性植物。
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- 貝原益軒「花譜」(1694年)・・・「花を鼻にあてて嗅ぐべからず、脳を破る。花上の露目に入れば目暗くなる」と書かれている。中国では、妊婦がこの花の下を通るとよく流産するという古い言い伝えに基づいた迷信であろう。ただし、花の汁液が肌に付くとかぶれを起すことがあるらしい。
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- 漢方・・・花が利尿や通経に効くとされている。夏の開花期に花を集めて日干しにして乾燥させ、煎じて服用する。
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- 俳句 凌霄(のうぜん)の花
凌霄(のうぜん)は妻恋ふ真昼のシャンデリア 中村草田男
凌霄やギリシャに母を殺めたる 矢島渚男
少しづつ時計のくるふ凌霄花 三田きえ子
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アメリカノウゼンカズラ |
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- ノウゼンカズラの近縁種・アメリカノウゼンカズラ(アメリカ凌霄花、ノウゼンカズラ科)
近年、よく栽培されている近縁種。花の赤みが濃く、筒部が長い。トランペットの広がりが小さいので、別名コノウゼンカズラとも呼ばれている。北アメリカ原産で、ケンタッキー州の州花。ツル性なので、何かにからませて栽培する。ノウゼンカズラの実は極めてなりにくいが、この実はなりやすいという。
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- 見分け方・・・ノウゼンカズラは花がラッパ状に開くが、アメリカノウゼンカズは筒部が細長いトランペット形である。
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- 花・・・ノウゼンカズラより花の筒部が長く、花色が濃い。ガクが赤橙色になるのも特徴。花径はノウゼンカズラより小さい。
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- 葉・・・小葉は9~11枚とやや多い。表面は濃緑色、裏面の中央脈は有毛。
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- 茎に多数の付着根があり、他の物にからみついて高く這い上る。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
- 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
- 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
- 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
- 「図説 日本の樹木」(鈴木和夫・福田健二、朝倉書店)
- 「森の野鳥を楽しむ101のヒント」(日本林業技術協会、東京書籍)
- 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
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